水の月、真花に出会うぶら散歩
・本郷通りから国道17号線へ
東京大学本郷キャンパス正門から本郷通りを農学部正門方向に歩いていくと、言問通りと交差する本郷弥生交差点に出ます。さらに、横断歩道際の本富士警察弥生町交番から真向かいの歩道へ渡り、左に分岐する国道17号線へと進みます。因みに国道17号線は、東京都中央区から新潟県の中央区に至る国道です。ヒストリー的には江戸と京都の三条大橋を結んだ中山道の一部を継承する路線で本郷通りもその一部と言えます。かつて、約30の大名が参勤交代に利用した街道で、なかでも加賀藩は最大の領地を持つ藩でした。江戸藩邸の上屋敷を中山道の本郷に下屋敷を板橋宿に置いていたことから、跡地となる東大キャンパス付近は通称「本郷通り」と呼ばれ中山道と呼ばれることはなかったようです。なお本郷通りは、千代田区神田錦町および神田橋交差点から北区滝野川の飛鳥山交差点に至る道路の通称となります。
・浄心寺坂から旧白山通りへ
通り名のない国道17号線を下っていくと6本目の路地道に標識があり、左矢標方向へ曲がると天台宗円乗寺がありました。このお寺には江戸時代天和の頃、恋焦がれた人に再度会いたいがゆえに放火をしてしまった於七さんのお墓があります。生誕、命日とも諸説あるようですが、おおよそ15歳という若さで火炙りの刑に処せられたと言われています。フィクションであることを望みたい物語です。また、円乗寺前の坂は「浄心寺坂」と言われてます。国道17号線沿いの坂上に浄心寺という寺があったためこの名がついています。ただし、坂下に於七さんの墓所である円乗寺があることから「於七坂」とも呼ばれています。
・白山下交差点から白山神社へ
浄心寺坂を下ると白山下交差点に出ます。ここから右に向かう千石駅前交差点までが旧白山通りとなる始終地点です。ここでは信号を渡り旧白山通りには行かず、斜め直進の京華通りに続く商店街に入ります。左右には6月11日から始まる「あじさいまつり」の提灯が装飾されていました。まもなくすると右側に白山神社の南参道の石段が見えてきます。
・白山神社のあじさい祭り
白山神社は、社伝によると天暦2(948)年に加賀国一之宮「白山比咩神社」から勧請したと言われており、創建地は現在の本郷1丁目付近やや東とされています。その後、江戸時代に入り現在の小石川植物園内、そして現在地白山へと2度遷座しています。なかでも、五代将軍徳川綱吉と母桂昌院は社が屋敷内に鎮座していたこともあり篤く崇敬し、以降小石川の鎮守として代々の徳川将軍家から庇護された御宮です。境内には凡そ3000本の紫陽花が咲き、文京花の五大まつりの一つに数えられています。隣接する白山公園の紫陽花とともに数種類の真花を鑑賞することが出来ます。さらに、境内には富士塚があり普段は門が閉じられていますが、あじさい祭りの期間中のみ解放されます。一方、拝殿前には風情を感じさせる万組が奉納した天水桶があり、さらに江戸中期に奉納された黄金の目を持つ阿吽の狛犬が待ってます。
・帰り道
社殿に対して横側にもう一つの東参道があり南参道とともに「江戸名所図会」に描かれています。東参道は都営三田線の「白山」駅に近いことから表参道と思われているようです。ただし、商店街のある京華通りからはいる石段は拝殿の正面に続く参道になるので、南参道が本来表参道であったと思います。さておき水の月、黄金までは無理としてたっぷり潤った目元に気合を注入、一つ先の春日駅までえっさ!えっさ!ほいさっさ!本日はこれまで。